歴史行路文庫Neo
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善載元年。港町で“彗星王”と呼ばれる義賊・王義英は、相棒の黒猫・夜風とともに腐敗した権力者から財を奪い、貧民へと配っていた。だが密告により追い詰められ、逃げ込んだ帆船が向かう先は、潮流に守られた孤島――藍宝石の鉱床を抱える「天神島」だった。
船には、赤髪と藍宝石色の瞳を持つ西域の女・アナスタシアと、その従者で官吏の郭石秀がいた。彼女は先代領主の血を引く“後継者”だが、島への執着も統治への意欲もない。対して島は、白市と黒市という二つの勢力に分断され、領主不在の三年間で緊張は限界に近づいていた。石秀は島の崩壊を止めるため、義英に「領主の心となって島を支えよ」と持ちかける。
上陸早々、刺客の影。藍宝石をめぐる野望。白の頭目の失踪、領主の指輪の盗難、毒殺未遂、密偵の侵入――島に起こる事件は次々と火種を増やしていく。さらに、島の象徴である指輪や印章が奪われたことで、領主の権威は揺らぎ、白黒の対立は再び戦へ傾きかける。
義英は“民を守る”という信念だけを武器に、白の後継・董楽和、黒の後継・鄭真進らと手を組み、陰謀の核心へ踏み込んでいく。一方アナスタシアは、自由を愛しながらも、冷徹な洞察と大胆な賭けで局面を動かす。二人は衝突し、疑い、利用し合いながらも、やがて互いの「孤独」と「矜持」を知っていく。
やがて判明するのは、島に潜む本土の間者網と、藍宝石を足掛かりに天神島を奪おうとする巨大な策謀。追い詰められた敵は、島を内側から壊すために血を流させ、疑心を煽り、白と黒を殺し合わせようとする。
天神祭の夜、島は一つになれるのか。それとも星の落ちるこの宝島は、欲望の渦に沈むのか――。
義英と夜風、そして“望まぬ領主”アナスタシアが選ぶのは、自由か、責務か。守るべきもののために、彼らは最も過酷な賭けに踏み出す。
既刊単行本をベースに、改稿・加筆を加えた“完全版”!
痛快ファンタジー活劇、開幕。